07. ‘PUBLIC BLUE’  社会の青色

冬の寒い時期になると毎年思い出すことがあります。
10年以上も前の事ですが、ホームレスのボランティアに参加したことです。大学の時にワーキングプアという言葉に出会い、貧困という問題に直面しその問題を
知ろうと思ったのがきっかけです。そして、大学の卒業時に
「’ PUBLIC BLUE ‘ leaning from urban survival strategies
of homelessness in Japan 」
という論文を執筆しました。
大量消費とエシカルの狭間
その当時、巷ではエコバックが流行り、エシカルという言葉が多く見られるようになりました。一方それと同時にファストファッションは全盛期となり、とにかく大量消費とエシカルという言葉が混在しているそんな状況だったと思います。
ワーキングプアという言葉を知ってからは、どんな事実が存在するのか
知れば知るほどに、恐ろしくなり、それと同時に自分の存在意義を悶々と考えるようになりました。
「PUBLIC BLUE」
という言葉を選んだのは、当時のホームレスの印象がブルーシートに覆われた
小屋で、青い色は貧困を連想させると同時に、空や海がもつダイナミックで透き通るイメージも共存している。ここまで正反対な意味が一つの色に存在することが、興味深く、複雑な気持ちになり、「青」という色に、社会問題を重ね合わせてメッセージを伝えたいと思ったからです。
ファッションとしてエコバックが流行り、同じ街中に路上死する人がいる状況が私には滑稽に見え、皮肉にも究極のエコな暮らしをしているのはホームレスだ。
という、かなり斜め目線の切り口の論文を書いてみました。賛否両論はあると思いますが、私なりの「ファッションとは」ということに対しての自問自答のようなものになっています。そしてリサーチだけでなく、しっかり自分の目でみた事実を論文の中に入れたく12月に冬休みを利用してホームレスのボランティアに参加しました
ボランティアで気づいたこと
そこには大勢のボランティアスタッフの方がいました。医療チームや、NPOの方々、とにかく継続しているその働きに頭が上がりませんでした。
現場の方の話を沢山ききながら、ホームレスの方とも沢山お話をさせて頂きました。こんな若造の私を受け入れてくれて、今でもとても感謝しています。年末に大々的な規模の炊き出しがされるのは、一人で寒い年越しを迎えないように暖かいご飯を提供しながら、少しでも温かい年越しを迎えられるようにクリスマスあたりから基地が設置されていました。冬は路上死が増える時期でもあります。私の想像よりもはるかに多い方々が炊き出しのご飯を求めて集まり、炊き出しのご飯作りも、ホームレスの方が参加しながら行われました。
なぜこんな状況になったのか、今はどんな状況なのか、
など話してくれる方もいるし、自分はダメな人間だ、とずっと自分を責め続けている方、とにかく様々の生の声を直接聞くことができました。夜になれば新宿や池袋界隈の公園を見回りながら一人一人健康状態は大丈夫か伺いながら風邪薬やホッカイロなど必要な物資はないか聞きながら回ることにも参加しました。そこで驚いたのは、ほとんどの方は何ももらわなかったという事実でした。自分の必要なものは自分で働いて調達するから大丈夫。という返事があまりに多く私が今まで持っていたイメージはなんて小さく偏っていたんだ。と感じました。
課題の深さ 「ホーム=繋がり」
この体験を通して、あまりの課題の深さに唖然としファッションという世界がなんてちっぽけなんだ、とその当時はショックを覚えたことを今でも鮮明に覚えています。そして’ホームレス’という言葉は、ホーム=家 ではなくホーム=繋がり という意味なんだという事を知る事ができました。ホームシックという言葉が表しているように、家が恋しいというよりも、故郷や繋がっていた人々たちが恋しいという気持ちです。NPOの方とお話をさせて頂いた時も、家を無料で貸し出しても問題は解決しない。「家がないという事よりも、人との繋がりがない、これが一番の問題だ。」と話ていました。
それ以来、12月に入り肌寒くなってくるとふとその時のことを思い出し、胸が締め付けられる思いがします。
そして、今台東区の事務所に移転してからというものの、日頃からホームレスの方を目にすることが増えました。目にする度に自戒し、進むべき方向を見失なわないように自分を奮い立たせています。
まだまだ道のりは長いみたいです