01. 触感を科学する
皮膚感覚の影響の研究
大学院の研究の中で、福祉の現場や養護施設に関しての文献を読んでいると、そこでは皮膚感覚がとても重要な役割であるにも関わらず、布製品に関しての研究はまだまだ開拓されていない事実を知りました。
ファッションの分野でのデザインは多種多様すぎており、もっと広く様々な人へ役に立てるような提案はできないのだろうか、、、ファッションの文脈と違うところで、私の積み重ねて着た知識や経験を活かせないものか、、、と日々頭の中で思いを巡らせていました。
布の肌触りに注目し、’布とヒト’という大きい枠組みで研究をしたら、養護施設や病院、様々な疾患を抱えている人など広く役に立つことができるかもしれない!と思い、布の触り心地が人へ与える影響を人間工学と感性工学を用いて探る研究をすることにしました。
人間工学的アプローチ
人間工学では、人の無意識の行動や意識の変化を数値化していき、そこに共通性や傾向が存在するのかを探っていきました。研究を進めれば進めるほど、本当に面白い現象であったり、過去の様々な文献を知ることができました。
触り心地、それは皮膚感覚という人間の原始的感覚の一つから得られる現象であり、視覚や聴覚と違い日常で遮断することのできない唯一の感覚です。
日常的に駆使している感覚であるにも関わらず、まだ解明できていなこともく、しかしなくては日常生活を送ることのできない重要な存在です。
皮膚感覚を調査する中で、統合失調症や自閉症を患っている人にとって皮膚感覚への刺激が重要な役割があることも知りました。
ならば、人にとってとても身近である布をデザインすることは
多くの人の生活の中に落とし込むことができる素材だと考えました。
布を用いた治療法ができないのか、
布を用いたセラピー方法を確立できないか、
今から医師になることは不可能だけど、私にしかできないことがあるのかもしれない。そんな想いで研究しました。この研究はKNITOLOGYを立ち上げた今でも続いています。
KNITOLOGYの活動の中で、スピードは遅いかもしれませんが少しづつ研究を進めていき、ここで報告していきたいと思っております。