06.偉大な女性

1993年 サラエボを訪問©︎UNHCR/Sylvana Foa

 

こんにちは、デザイナーの鬼久保です。ある日、仕事帰りにふと携帯を見ていると一つのニュースが目に飛び込んできました。

 

それは、私がとても尊敬する女性 緒方貞子さん の訃報でした。

2019年10月。本当に悲しく、緒方さんの事で頭がいっぱいになりました。緒方さんは日本人初の国連難民高等弁務官として、世界の紛争地へ行き難民支援に取り組まれてきました。常に最も弱い立場の人たちの利益を考え、様々な難題に真っ向から取り組んできた方です。彼女を深く知ったのは、緒方さんの意思を継いぎ、今の国連を引張ている中満泉さんがきっかけでした。

 

イラク、多国籍軍の戦車の上で(1991年)(『危機の現場に立つ』より)

 

 

中満泉さんは日本人女性初の国連事務次長として軍縮を担当している素晴らしい方です。彼女の出した書籍「危機の現場に立つ」を読んだ時は、あまりの凄さに
自分の力のなさを痛感し絶望したことを今も鮮明に覚えています。

そんな彼女も緒方さんから多大なる影響を受けた一人です。

緒方さんも中満さんも見た目は小柄でとても優しそうな外見なのに、
ライフルを抱えた自分の体の2倍はあろう男性と立ち向かい、怖気付かず、対等に、かつ円滑に交渉を進めている姿は

勇ましく、強く、聡明で、

言葉では表せない衝撃を覚えました。各国に緒方さんの意思を引き継ぎ、今なを世界の厳しい現場で戦っている人たちが沢山います。常に弱者に寄り添い、声を聞き、最善の選択は何かを現場で探りながら 生と死 に向き合っている。私は自分が緒方さんや中満さんと同じ日本人女性であるということだけで、誇らしく思います。

 

緒方さんの言葉で印象に残っているものがあります。

’現場主義’
とにかく最前で、現場に行って現場の感覚がなければ、人は説得できない
’生きてもらうことに尽きる’
最後はどうであろうと命を守る以外にない。
’ミッションのためにルールを変える’

どんなに頑張っても彼女たちの足元にも及ばないことはわかっています。
それでも、その意思を受け継ぎ、自分のできることで自分の目の前の人の’生きる’と向き合いたいと強く思っています。それはいずれ日本だけでなく、この志しに共感してくれる人が広がり世界とともに歩めることを信じています。

 

記事:2019年11月1日

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